プロフィール

まめ

Author:まめ
アメリカ大学院留学。結婚・出産後、Ph.D.取得。イギリス引っ越し、1年後アメリカに戻る。現在、妊婦ワ―キングママです。


最新記事


カテゴリ


月別アーカイブ


カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新コメント


アクセスカウンター


アクセスランキング

[ジャンルランキング]
海外情報
1341位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ヨーロッパ
325位
アクセスランキングを見る>>

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Steve Jobs氏のすべてを賞賛すべきではない

10月5日に、長年アップルのCEOであり、つい数ヶ月前に辞任したばかりのSteve Jobs氏がすい臓がんで亡くなった。そのニュースは世界中に大きなショックとともに伝わった。すい臓がんは、進行が早くきわめて予後が悪いことで知られている癌である。


そのJobs氏が亡くなる5日前、ノーベル医学賞・生理学賞の受賞が決定したカナダの免疫学者Ralph Steinman氏はすい臓がんの治療にも関係のある樹状細胞の研究をしていたが、受賞が決まる3日前に、同じくすい臓がんによって亡くなった。


ほんの数日間に、すい臓がんが奇しくも、今もっとも輝いている2人の天才の命を奪ったわけである。


Jobs氏は言わずと知れた、iPadやiPhoneという世界中で売れに売れまくった大ヒット商品を生み出した人物だ。彼のクリエイティビティ、イノベイティブな発想と、苦学生の生活から世界でも有数の大富豪の一人になったという、アメリカンドリームをまさに体現してきた彼の人生に、尊敬の念と深い共感を抱く人は少なくない。彼の死後、オバマ大統領、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏等、各界の有名人が惜別の言葉を発表したことからも、いかにSteve Jobs氏が影響力の大きな人物であったか分かる。Facebook上には、ぞくぞくと"R.I.P. Steve" という言葉が並んだ(R.I.Pはラテン語でrequiescant in pace= rest in peaceの意味)。


この2日間、アップル製品のファンはもちろん、そうでない人も、にわかファンも、誰もかれもが、彼の死を悼んでいるようだった。ほとんど彼がカリスマ、いや神格化されてしまっているようなインターネット上の言説に、私は違和感を覚えた。彼の企業人としての手腕だけでなく、彼の人としての生き方も含めてすべてが賞賛されていることに。


私は普段アップルの製品を特に使っていないが、かといって嫌悪しているわけでもない。PCしか使ったことがないので、学校にあるアップルのコンピューターは慣れていないために、いざ使おうとしてもよく分からず、まったく使い勝手が悪いと憤慨するぐらいである。(大学の図書館にはPCとMacと両方置いてあるのだが、PCを使う人の方が多いため、Macしか空いているコンピューターがなく、仕方なく使わなければいけないときがあるのである。)私が持っている唯一のアップル製品は2007年に買ったiPodである。MP3プレーヤーに比べれば、あれはたしかに画期的な商品だった。しかしそれ以外は特に興味なし。iPhoneよりもアンドロイド派である。


Steve Jobsは悪人である。彼がここまでのしあがってきた中には、様々な裏切り行為、金儲け主義優先の行動があった。その詳細はここでは書かないが、興味のある人はネットで検索をすれば出てくるだろう。


彼の根本にある考え方は企業中心、経済中心の資本主義である。彼がへろへろだったアップルを立て直したのも、次々にヒット商品を飛ばしたのも、企業人としてはお手本のような生き方だろう。消費者に「これが世界を変える」と訴え、カリスマ性のあるプレゼンでとりこにし、ファンを増やし、高額な特許でぼろ儲け。アップル製品を使うことが、白人の中上流階級のステイタスシンボルになった。アップルの製品がいいからアップルを買い続けるのではなく、アップルがステイタスシンボルだから、アップルを買う人が増えた。(全員がそうであると言っているわけではない。)金持ちがベンツに乗るようなもんである。


Steve Jobsが悪人である、と言い切るのは、彼が経済中心の資本主義をさらに扇動し推進してきたからである。その結果、アップルは、世界で、最も環境を破壊してきた企業になった。安い人件費で中国で電話をどんどん作って、ばか高い値段で売るのである。電話を作る際に環境を汚そうが気にしない。すべては金のためである。


私の周囲には、2〜3人、そういう意識の高いアメリカ人の友人がいる。みな、20代の白人男性である。彼らはSteve Jobsの生き方にNOをつきつけ、欺瞞を暴き、ニューヨークのウォール街でデモをする。彼らに聞いた話だが、Steve Jobsは世界で最も金持ちの一人であるにも関わらず、税金を一切払っていない。アメリカは金持ち優遇の国である。悪徳弁護士や会計士を雇えば、いつだって税法の抜け道はあるのだ。さらに、Steve Jobsは慈善活動を一切やらない。メジャーリーガーやそのほかのスポーツ選手がオフシーズンにさまざまな慈善活動を行うのは、高い年俸を得ている者としての社会的責任と義務である、という考え方がアメリカにはある。Steve Jobsは最も高額所得者のメジャーリーガーの何倍も稼いでいるにもかかわらず、一切の社会的活動を行わない。


論点をクリアにしよう。私はSteve Jobs氏の革新的な創造力、自己実現力、自己表現力には敬服の念を持つ。しかし、彼の生き方そのものを賞賛し、カリスマとしてやみくもに崇め奉ることには、危機感を覚えるのだ。視点を変えて彼のプレゼンを批判的に見てみれば、もっと違うものが見えてくるだろう。iPhoneを購入することと、ウォール街でのデモに参加することが矛盾した行動だということも。


現在、Facebookを含めて、インターネット上でSteve Jobs氏の批判を書くことは実質できないといっていい。やるなら「炎上」覚悟で、という意味だ。これは、現在日本で起きている、原発反対への動きをけん制しようとするどす黒い権力構造に似ていると思うのは私だけだろうか。脱原発や、放射能の危険性を訴えるブログが突然閉鎖されたり、コメントには異常な反応が返ってきたりする。まったく論理的でない、感情にまかせた人格攻撃が掲示板でおこり、政府は真実を隠蔽するために情報統制する。


色々な考え方があっていい、言論の自由が認められている、というのはしょせん幻想である。言ってしまえば、日本もアメリカも「自由の国」ではない。

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://glowingfacegirl.blog.fc2.com/tb.php/98-7b421bb7

 | ホーム |  page top


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。