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Author:まめ
アメリカ大学院留学。結婚・出産後、Ph.D.取得。イギリス引っ越し、1年後アメリカに戻る。現在、妊婦ワ―キングママです。


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アメリカのPh.D.ってどうやって取るの?

最近このブログでは、気になって仕方がないので原発関連の話題が多いのですが、たまには本職のほうがどうなっているのかの記事も書かないとね。


長きに渡るCandidacy exam(博士課程資格試験)がようやく3月に終わり、晴れて「Ph.D. Candidate」(博士号候補生)となって早2ヶ月。東日本大震災からも2ヶ月。資格試験の口頭試問の日に震災が起きたのでした。


日本の友達にも、「何度聞いても、どういうプロセスでPh.D.になるのかよく分からないよー」と言われるので、もう一度おさらいしておきます。


日本の博士課程は、科目履修がなく、おもに博士論文を書くわけです。ヨーロッパの大学院博士課程も日本と同様です。博士課程に入学するには、博士論文のプロポーザル(計画書)を書かないといけないと聞きます。


アメリカの博士課程は、プログラムによって大幅に異なります。たとえば数学などは、修士号がなくても、大学卒業後すぐに博士課程に入ることが出来ます。ただし、学士号は数学でないといけません。博士課程の3年目か4年目にgeneral examと呼ばれる試験(上記のcandidacy examに相当します)を受け、それに合格した時点で退学すれば、修士号がもらえます。修士号をとるのに、修士論文が必要ないわけです。(修士論文を書くオプションも可能だと思いますが)。その先に博士論文に取り組み、3年〜5年をかけて無事に研究を終え書き上げれば、博士号が授与されることになります。従って、数学の分野では、修士号しか持っていない人は「博士号を取りたかったけど取る能力のなかった人」という認識をされることが多いです。


それに対して、文学などは、文学の修士号を取っていないと文学の博士課程に入学することは出来ません。私のアメリカ人の友人は学士号・修士号を心理学で取り、日本文学で博士課程に入学しようとしたのですが、修士課程にしか入学許可が下りなかった人がいます。ちなみにその人は修士号を無事に取得し、この秋からは博士課程に入学が決まっています。したがって、修士号しか持っていなくても、それはあくまで「修士号を持っている人」と見られるわけで、「博士号を取る能力のなかった人」とは決して認識されません。


さて、教育学部大学院は、数学や文学とは少し性質が異なります。いずれ教員になりたい人は免許取得のために教育学修士(M.Ed)を取ります。よって、教育学部大学院は、ビジネスや法学、医学などの資格を取るためのいわゆる実務的な「プロフェッショナル大学院」としての機能も果たしています。その一方で、いずれ教育分野の研究者(大学教授)になることを目指す人たちは、教育学修士(M.A.)をまず取ってから、博士課程(Ph.D.)に進みます。よって、教育学部大学院は、数学や人文のように研究大学院としての機能も持っています。


教育分野での博士課程は、入学するために修士号が必要ですが、これは教育学の修士号ではなくてもOKなところがほとんどです。ただし、数学や文学と異なるのは、教育の実務経験(つまり教員経験)が最低でも3年はないと出願できないことです。これはビジネス修士(MBA)にも共通しています。MBAに出願するためには、最低でも2年の実務経験(会社員経験)がないと出願できません。


さて、ここからは教育分野の博士課程に限定して話をすすめます。入学後、Ph.D.学生は、最初の2〜3年を科目履修に費やさねばなりません。必修科目と選択科目で合計15〜20科目ほどを履修します。特に最初の2年間は、学期中は別のことをする余裕などまったくないほど、日々、大量のリーディングとライティングの課題をこなさねばなりません。この修行に耐えられない人は途中で脱落します。次に、2年目が終了すると同時に、3年目ないし4年目に受けるcandidacy examの試験内容を教授と相談します。オハイオ州立大では4科目を選択し、1科目につき1人の教授と、その試験分野やトピックの相談をし、受験に備えて勉強を開始します。この分野は、自分の学術的興味や、博士論文で取り組みたいテーマに関連したトピックを選ぶことになります。そしてほぼ半年〜9ヶ月の準備期間を経て、試験を受けます。これは1問につき1週間〜2週間の時間内で書く、30〜40枚ほどの論文になります。


晴れて試験に合格すると、正式にPh.D. Candidateと呼ばれるようになり、博士論文の研究をする準備が出来ているとみなされます。ここからは、科目履修はなくなる代わりに、研究のデザイン、方法、理論的枠組みなどを細かに詰めて、プロポーザルと言われる研究計画書を作成することに目標は移行します。このプロポーザルは、だいたい、博士論文の3〜4章分に当たり、100ページほどの論文になります。


プロポーザルを作成するために、パイロットと呼ばれる、予備的研究を行います。そのためにはIRBと呼ばれる、人間を扱う研究(教育分野ではほとんど相当します)における倫理的問題をすべてクリアするために行う審査のための書類作成も行わねばなりません。IRBの許可が出る前にフィールドワークを行うと、学生も指導教授も罰則を受けます。この点、日本に比べてアメリカは非常に厳しいと言えます。例えば、IRBの許可なく、誰かにインタビューを行い、それに基づいて学会で発表した場合、あるいは論文を出した場合、学生は退学に相当する上、指導教授は向こう5年間、一切の研究活動を禁止されます。


無事にIRBを通過し、パイロットを行い、プロポーザルを作成すると、プロポーザルが妥当なものであるかの審査委員会が開かれます。これは、学生とその指導教授、そしてもう2人の同大学に所属する教授(さらに1名の別大学に所属する教授が含まれる場合もあります)が出席します。ここで認証されると、ようやく博士論文のためのフィールドワークを行うことができます。これにかかる期間は、統計などを使った数量的研究の場合は数ヶ月で済みますが、インタビュー調査、見学などを使ったエスノグラフィをはじめとする質的研究の場合は1年〜1年半かかります。データ収集後はデータ分析、理論的枠組みの見直しと先行研究の見直し(主に追加)、研究結果と結論を執筆し、博士論文の提出となります。


私がcandidacy examに合格した、と報告すると、日本の友人たちは「じゃあもうすぐ卒業なんだね!おめでとう!」と返してくれるのですが、以上の説明で、ここからがまさに正念場であることがお分かりいただけたと思います。candidacy examに合格後5年以内に卒業しないといけないのですが、だいたい、平均で3年ぐらいかかっているようです。よって、candidacy exam合格までが3年、その後にもう3年、アメリカの博士号は取得に(平均)6年かかるというわけです。中には8年9年かかる人もいます。途中でテーマを変えた場合や、方法論を変えた場合、もしくは指導教授を変えた場合などです。


現在の私はどこに位置するのかと言うと、プロポーザル作成に必要なパイロット研究を行うためのIRBの書類を提出し、博士論文のための研究助成に出願を出したところです。IRBを通過するのに数週間かかりますが、来月からはパイロットができるかなというところです。


 


まだまだ道のりは長いですが・・・


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コメント

在学中の語学試験

お返事ありがとうございます。在学中の語学試験のことだったのですね。それなら、心配いらないと思います。超らくちんだったみたいです。ただ単に、1学期間、外国語のリーディングを取るだけで、ちょっとやればAを取れる程度の難易度だそうです。
2011-07-03 19:44 | Glowing Face Girl #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

Unknown

僕も 説明不足でしたが在学中の語学試験のことを聞きたかったんです。 多分それだと思います。ありがとうございます。
2011-07-03 12:07 | 菅井 #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

Unknown

OSUの数学(Ph.D.)にいるアメリカ人の友人に聞いてみました。「出願時に外国語試験が必要な数学のPh.D.プログラムは聞いたことがないけどね」と言っています。在学中(1年目)にフランス語かドイツ語かロシア語のうち1科目を選んで、一学期間だけ、リーディングのコースを取るのが必修だっただけみたいです。

彼がOSUに入学したのはもう5年前なので、最近は事情が変わったのでしょうか。金融工学については知り合いはいないので分かりませんが・・・。

ブログ、これからもよろしくお願い致します。
2011-06-18 00:42 | Glowing Face Girl #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

Unknown

返信ありがとうございます。 僕の場合数学か金融工学なので少し違うのかもしれません。
これからもブログフォローしていきま。
最近は、エリート教育に興味あります。!

ありがとうございました。
2011-06-17 21:01 | Unknown #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

Unknown

コメントありがとうございます。現在はMAで学ばれているのでしょうか。私が出願したPh.D.は10校ですが、外国語試験があったところは1つもありません。おそらくCollege of Educationではなく、別分野のPh.D.を目指しておられるのだと思いますが・・・。なので、難易度も試験内容も全くわかりません。お力になれず、すみません。出願準備、頑張ってくださいね。
2011-06-16 23:25 | Glowing Face Girl #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

頑張ってください

はじめまして。 現在 Ualbanyで勉強しているものです。 PHdについて考え始めています。
いきなり質問すいません。
PHdには、 Language Examが大抵あり、
フランス語、ドイツ語、ロシア語の3つがメインですが、 その難易度というのは、どのくらいなんでしょうか?
2011-06-10 17:15 | 菅井 #79D/WHSg | URL [ 編集 ]

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