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古本市

コロンバス周辺にはホンダの工場やホンダの関連会社がいくつかあるので、日本人駐在員とその家族を合わせると、かなり大きな日本人コミュニティがあると言われている。以前の記事にも書いた通り、オハイオ州立大には日本人はかなり少なく、日本人にばったり会うことはほとんど無い。この日本人コミュニティは大学から10マイル以上離れたダブリンという町にある。ダブリンは大学周辺と違って、高級住宅街で、一度家庭教師をしにお邪魔したお宅は、まあ東京なら1億5千万円ぐらいはしそうな超でっかい邸宅であった(しかし周囲と比べると特に大きいわけではなかったが)。

毎週土曜に勤務している職場で、年1回の日本語の本の古本市があり、私も30分ほどのぞいてきた。本はどこから集めたのか、雑誌から文庫本から図鑑や辞書や絵本まで、様々な種類があり、大きな体育館一面にダンボールを広げての古本市であった。普段日本人に会わない生活をしているので、こんなに一度に大勢の日本人が集まっているのを目にし、なんとも不思議な感覚だ。予想していたよりも規模が大きくてびっくりしたのと同時に、何より印象的だったのは、小中高校生やその保護者達が、目をキラキラさせて、本を漁っていたことだった。

活字離れが叫ばれて久しいが、日本の文部科学省も、学校の先生も、この光景を目にしたら驚くだろう。一人で10冊ほどの文庫本を抱えている高校生、日本昔話のシリーズ本を5〜6冊抱えている中学生、ビジネス本や小説を抱えきれないぐらい持っている大人など、そこらじゅうで目にすることが出来た。彼らはアメリカに長く滞在しているため、よほど日本語の本に飢えているのかもしれない。たしかにこちらでは、日本語の本を豊富に揃えている大学の日本研究の学部を除けば、アマゾンやBarns and Nobleで日本語の本を買うことはできないし、市立図書館にも現地校の図書館にも日本語の本が置いてあることはほとんどない。日本語の絵本を子供に読ませたい、と思っても、リソースがない。

この良心的な古本市は、どの本も一冊25セント、クウォーター1個で買うことが出来る。ちょっと覗くだけで買うつもりはなかったのだが、周囲の高校生に刺激されたのか、あるいは実は自分も日本語の本に飢えていたのか、2冊購入してしまった。

一冊目は
「超・格差社会のアメリカの真実」小林由美 2009年 文春文庫。

もともと大学のゼミではアメリカ文化研究をしていたので、このようなテーマの本にはいつも興味がある。政治・経済・社会学的な本は、小説と違って新しくないと読む気がしないのだが、これは今年出た本であるので、買うことにした。

もう一冊は
「失格社員」江上剛 2007年 新潮文庫。

この作家の本は読んだことがないのだが、「心にしみるユーモア会社小説 10篇」というのに興味を引かれたのと、筆者のあとがきの「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな」という言葉になんだか共感してしまったので手に取った。

英語ですら、reading for pleasure (楽しみのための読書)の時間は無く、ひたすら専門の本やアカデミックな論文ばかり読む日々なので、この学期が終わるまでは時間がなく読めそうにないが、なんだかものすごく日本語の読書をしたくなった一日であった。

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