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アメリカ大学院留学。結婚・出産後、Ph.D.取得。イギリス引っ越し、1年後アメリカに戻る。現在、妊婦ワ―キングママです。


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ルーズヴェルト・ゲーム

このところ育児の合間時間に読んでいた、池井戸潤の「ルーズヴェルト・ゲーム」読了。

昨年ドラマ化もされたのでご存じの方も多いかと思います。

池井戸潤の数々の、銀行や企業を舞台にした小説のストーリー展開は、他の追随を許さないテンポの良さ、面白さがあります。
単なる「経済小説」ではなく、人間を描いた小説が多いからだと思います。
サラリーマンの抱える苦悩、しがらみ、会社内の部署同士の覇権争い、また他企業との関係、個と全体の利益が反する場合のジレンマ。
普通の企業に勤めた経験のない私には新鮮であると同時に、何やら、サラリーマン生活を送っている友達の日常を垣間見ているような気になるのです。

「ルーズヴェルト・ゲーム」は池井戸潤の良さに、さらに野球をからめた、まるで経済小説とスポーツ小説の豪華コンビネーションのような、それでいて単なる合体ではなくて、企業の野球部という存在が、さらに企業の抱える色々な大人の事情や人間関係を炙り出すかのような働きをしていて、上質のエンターテインメント小説に仕上がっています。

社会人野球だけでなく、スポーツ選手はよく企業に属して企業の名前を背負ってプレーしているのを目にしますが、部の存続の問題というのは、直接、彼らにとっては首が繋がるか否かの問題なのですね。

タイトルのルーズヴェルト・ゲームというのはどこから来たのかというと、野球好きで知られるアメリカ大統領フランクリン・ルーズヴェルトが、1937年にニューヨーク・タイムズの記者に宛てた手紙の中で、「野球で一番おもしろいゲーム・スコアは8対7だ」と言ったことに由来するそうです。

気になったのは、ルーズヴェルトは実際、どういうふうに、どのような文脈の中でこのことを言ったのかな、ということです。

日本の本は、本当に参考文献リストがある本が少ないんですよね。
あからさまに研究書ならば、当然、参考文献リストがあるのがふつうですが、私はエッセイでも小説でも、何かを参考にしたり引用したりしたならば、参考文献リストを付けるべきだと思うのです。

さて、ルーズヴェルト大統領の言葉ですが、検索してもすぐには出てきませんでした。いくらか違うキーワードで試したのち、ようやく見つけました。

Franklin D. Roosevelt and the Shaping of American Political Culture, Volume 1 (2001)
Edited by Nancy Beck Young, William D. Pederson, Byron W. Daynes

この本の123~124ページに次のような記述があります。

(Popular biographer John) Gunther describes Roosevelt as a casual fan who liked the game "if it was a lively game full of slugging; a pitcher's duel bored him." Gunther's observation is apparently based on FDR's letter to James P. Dawson of the New York Times, which was read at the Fourteenth Annual Dinner of the New York Chapter, Baseball Writer's Association of America.

The president wrote, "When it comes to baseball I am the kind of fan who wants to get plenty of action for his money. I have some appreciation of a game which is featured by a pitcher's duel and results in a score of one to nothing. But I must confess that I get the biggest kick out of the biggest score--a game in which the batters pole the ball into the far corners of the field, the outfielders scramble and men run the bases. In short, my idea of the best game is one that guarantees the fans a combined score of not less than fifteen runs, divided about eight to seven."

大統領はニューヨークタイムズのJames P. Dawsonに宛てて書いた手紙の中で、例の「野球で一番面白い試合」について述べています。大統領はベースボール・ライターズ・アソシエーションの年一度のパーティーを欠席したので、そのパーティーの中でその手紙が読み上げられたそうです。

なるほど、野球記者を集めたディナー・パーティ向けの手紙なので、野球の話題をしたわけか。

そこで大統領はこのように書いています。

「野球について言えば、私は試合のチケットのために払っただけのお金に見合った、たくさんの動きを見たいと思うようなファンなんだ。素晴らしいピッチャー同士が互いのチームを抑え合い、1対0で終わるような試合も、いくらかは評価するけれども、私はこう言わねばならない。大量点が入るような試合が一番楽しいと。つまり、バッターがボールをフィールドの一番向こうの隅っこまで飛ばし、外野手がボールを奪い合い、スコアが入るような、そういう試合がね。端的に言えば、私が考える最高の野球の試合というものは、ファンに、少なくとも合計15点は保証するような試合だ。それも8対7に割れるようなね。」

この最後のところ、原文を読んでみると、実はルーズヴェルトは必ずしも、「8対7の試合が一番面白い」とは言っていないのです。
ルーズヴェルトは「少なくとも」(not less than)15点は欲しい、で、その点数が競り合ったものであってほしい、と言っているのです。

ということは、8対7の試合が「ルーズヴェルト・ゲーム」なのではなくて、13対12の試合も、20対19の試合も、「ルーズヴェルト・ゲーム」である、ということになります。

このことを別に小説の作者に指摘したり、ましてや批判するというようなことは、ナンセンスだと思いますが、ふと疑問に思ったことを、原本を探して読んでみる、ということは面白いな、と思いました。

さらに、上記の英文引用箇所にあるように、著名なバイオグラファーのジョン・グンターは、ルーズヴェルトの手紙を元に、ルーズヴェルトは超野球ファンなのではなくて、単なるちょっとした野球ファン、つまり時々野球を見に行くぐらいの、軽めのファンだ、と断じています。
ルーズヴェルトは野球ファンだとして知られていますが、確かに、手紙の内容を見てみると、玄人ファンとはいいがたい気がします。
実際は、素晴らしい投手同士の試合とか、緊張感にあふれ、テンポ良い試合運びで、ある種の芸術ですからね。

何はともあれ、「ルーズヴェルト・ゲーム」、池井戸作品と野球ファンの私にはとっても楽しめました!
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